第7回定例研修 概要(2012年9月12日実施/2012年10月配信開始)

研修テーマ: 『デジタル時代の著作権法制度の課題』
講 師 野口 祐子 氏 (森・濱田松本法律事務所パートナー弁護士)
認定単位 3単位
研修のねらい  現在の著作権法の枠組みがベルヌ条約で定められてから1世紀以上が過ぎ、その間に、著作権法を取り巻く環境は激変しました。その結果、著作権法はさまざまな課題に直面しています。特に、著作権を取り巻く技術変化(デジタル・ネットワーク化)、それに伴う著作権法の守備範囲の拡大によって、著作権制度は、その発足当時には想定していなかった多くの分野や主体に及ぶことになりました。その結果、現在では、多様な著作権の生態系に一つのルール(すなわち、ハリウッドが代表する商業コンテンツのルール)が一律に当てはめられることとなり、そのルールに適さない分野で難しい問題を提起しています。
 この講義では、著作権法の個別問題ではなく、著作権法の制度設計という観点から、著作権法の現在の問題がどのようにして生み出されたのか、具体的にどのような点が問題なのかを共に考え、あるべき著作権法の姿について考えます。
研修内容

 この講義では、著作権法が現在直面する問題点を、それが生み出された背景を歴史的にたどりつつ、大きな視点からまとめます。
その上で、著作権法の問題が浮き彫りになっている具体的な分野として、科学技術分野における著作権のあり方と、それに対する取り組みを紹介し、共に著作権法のあり方について具体的に考えます。
 最後に、2012年著作権法改正について、振り返ります。2012年著作権法改正は、「日本版フェア・ユース」として鳴り物入りで議論が始まり、結局4つの例外規定となって改正に至った「一般例外規定」や、議員立法で最後に付加された違法ダウンロード刑罰化等で注目を集めました。著作権法の立法過程にも目を配りつつ、これらの改正点について、共に考えます。

プログラム

2012年9月12日(水) 【会場受講】
12:30~13:00 開場、受付
13:00~13:10 開講式、オリエンテーション(開講挨拶、事務連絡等)
13:10~16:20 講義 『デジタル時代の著作権法制度の課題』 
16:20~16:30 質疑応答
16:30~16:40 閉講、修了証交付


【講 師】

■ 野口 祐子 (のぐち ゆうこ) 氏 プロフィール詳細(森・濱田松本法律事務所)

(森・濱田松本法律事務所パートナー弁護士)

(略歴)
1991年 神奈川県立湘南高等学校
1995年 東京大学法学部(私法)卒業
1996年 東京大学法学部(公法)卒業
1998年 弁護士登録(東京弁護士会所属)
2002年 スタンフォード・ロー・スクール修士課程修了
2006年 スタンフォード・ロー・スクール博士課程修了
2006年~国立情報学研究所 客員准教授
2007年~NPO法人クリエイティブコモンズジャパン常務理事
2008年~東京放送(TBS)番組審議委員副委員 (2010年4月より副委員長)
2010年~東京大学大学院情報学環・学際情報学府 非常勤講師

(主要著書)
・筑摩書房『デジタル時代の著作権』(2010年10月5日)
・ジュリスト「複雑化する情報流通とクリエイティブ・コモンズの挑戦」(2011年7月1日刊)

(事務所内活動)
・国際的紛争解決プラクティスグループ
・知的財産権プラクティスグループ
・競争法/独占禁止法プラクティスグループ



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