・本書は輸入ビジネス、すなわち商品の発掘・選定、サプライヤーとの契約、輸入、販売における知財リスクを回避するための実務書です。
・A5判253ページ、文字も適度に大きく輸入ビジネスに必要な知識を短時間で一通り学習することができます。平易な文章で、フローチャート等も利用して分かり易く説明されています。
・輸入ビジネスはインターネットの普及と、国際宅配便等の迅速かつ簡単な配送システムの確立により個人でも低コストで簡単に行われる様になったため近年盛んに行われていますが、筆者によれば、法的には簡単になどなってはおらず、むしろその気軽さゆえに法的リスクが軽視され、簡単に法律を犯す事態が多発しているとのことです。2011年度の知的財産権侵害事犯の検挙者数は647人に上り、そのうち430人が逮捕されています。インターネットを利用した侵害行為への取り締まりが強化されており、前述の検挙者のうちインターネット利用の商標権侵害での検挙者数が184人、逮捕者140人となっています。
・本書では知的財産四法、著作権法、不正競争防止法、関税法から消費者契約法、特定商取引法まで言及されており、特に知的財産リスクの高い商標に関してはIPDL(特許電子図書館)での商標調査の仕方等を紹介するなど実践的な内容となっております。(※特許電子図書館はサービスを修了し、2015年3月23日より特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)として 新たな特許情報提供サービスが提供されています)。
・輸入に関しては、特に並行輸入及び税関手続きについて詳しく説明されています。
・販売に関しては、侵害事例及び侵害の警告を受けた場合の対処法、商標権や不正競争防止法、商品表示、特定商取引法、サプライヤーとの契約等、幅広い観点で 有用な情報が提供されています。特にインターネット販売に関しては販売一般とは別に一章を割いてドメイン名の取得からホームページの内容まで、留意すべき点を指摘しています。
・輸入ビジネスを行う人から相談を受けたり、会社において輸入ビジネスの知的財産リスクの管理を任されたりする知財技能士の方々は多いでしょうし、今後ますます増えてくるものと思います。その様な立場の知財技能士として本書の内容は最低限知っておくべき内容だと思われます。
・個々の法律、事例に関して掘り下げた解説があるわけではないため法務の専門家には物足りないかもしれませんが、輸入ビジネスに係る知的財産リスク全般を網羅した本書は多くの人にとって得るところがある本だと思いますのでお勧め致します。