著者:山田 奨治
出版社:人文書院
出版日:2016年4月
本書は、著者の前作「日本の著作権はなぜこんなに厳しいのか」の続編として、前作が出版された後の2011年以後の著作権法の改正やACTA、TPPといった国際条約での日本の 国会議員と権利関係者、多国籍企業の意向を受けた米国政府の動きが焦点となっています。
本書が上梓された昨年春までの日本国内での著作権関係の法制定、改正がどのような状況で進められていたのか、またその動きと密接にリンクするACTAやTPPと行った国際条約の制定への動きなどが、わかりやすく時系列に述べられてます。
特に著作権法の改正では、日本版フェアユースが如何にして骨抜きになっていったのか、また、 違法ダウンロードの刑事罰化が制定されるまでの過程もページを割いて詳しく解説されています。
最終章では、一昨年の東京オリンピックのエンブレムの盗用疑惑事件を上げ、行き過ぎたネット上での炎上 問題にも警鐘を鳴らしています。
こちらの文書を執筆した段階では、2017年1月、TPP反対を公約にした共和党のトランプ大統領が就任し、TPP条約の発効を行わない大統領令を早速出して、TPPの発効はほぼ無くなった状況です。今後の日米二国間FTAの交渉において改めて、知財関連の取り決めがなされて行くことと予想されます。
著者が著作権の厳格化に反対のスタンスを持つ為、厳格化の一連の動きにはかなり批判的なトーンでの 記述も目立つため、ここは評価の別れる点だと思いますが、そこを差し引いたとしても、前作も含めて、ここ8年ほどの著作権にまつわる日本と世界の動きを見るには、うってつけの一冊です。