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「楽しく学べる「知財」入門」

著者:稲穂 健市
出版社:講談社現代新書
出版日:2017年2月

納得.身近に潜む知的財産権がわかる

2020東京五輪まで2年余り。その機運が高まるなか、オリンピックのロゴや名称など、あちこちで目にする機会が増えてきている。ロゴやエンブレム、大会名称、そして「がんばれ! にっぽん!」のスローガン商標が、知的財産権として商標法、不正競争防止法、著作権法など により保護されていることは、知られているところである。しかし、日本広告審査機構(JARO) が、「NGの恐れのあるオリンピック広告の表現例」として、「東京で未来の夢を実現」「2020円 キャンペーン」等を挙げていることには驚かれる方もいるのではないだろうか。

そこで、ここにご紹介する「楽しく学べる『知財』入門」は、身近でユニークな事例を取り上げ、基本的な「知的財産権とは何か」という概要はもちろんのこと、模倣や類似はどこまで許されるのか等、具体的な法律要件を示しながら平易な言葉で語られている。津々浦々の観光地で見かける「自撮り棒」。この基本概念となる発明は、すでに数十年前に特許登録されていたが、 特許料の納付が途中で打ち切られてしまっていたとか。アサヒビールの「Asahi」のロゴに 著作権はあるのか等、これから勉強を始める方の入門書としてだけでなく、読み物としても興味深い。

また、「これまで行ってきた知財啓蒙活動の集大成といえるもの」と著者自身が述べているように、「東京ドーム肖像使用料」やミニチュア建造物の著作権について、それぞれの施設に直接取材した経緯や様々な事例から得られる教訓も紹介され、実務の上での潜在的な問題点を考える一冊といえよう。

評者:小鷲 貴美子
知的財産管理技能士会 広報委員

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