事業者が、事業の実態や将来性に着目した融資（事業性融資）を受けやすくなるよう、金融機関による事業性融資への取組を促す施策の一つとして、「企業価値担保権」の創設等を内容とする「事業性融資の推進等に関する法律」が2024年6月に成立し、2026年に施行予定です。 企業価値担保権は、有形資産に乏しいスタートアップや、経営者保証を懸念する事業者等の資金調達を円滑化するため、企業のノウハウや顧客基盤等の無形資産や知的財産も含む総財産を一体として担保とできる、新たな制度です。
金融庁をはじめとした政府は、近時、事業性融資を推進してきており、企業価値担保権の利用にかかわらず、今後もこの傾向は強まると考えられます。
事業性融資や企業価値担保権の発展には、無形資産を含めた事業全体の価値や将来性を、関係者が正しく認識し、共有する必要があります。無形資産のプロである、知的財産管理技能士の皆様にも関係し得ることから、制度についてご紹介をした上で、皆様と議論を深めたいと思います。

1. 「事業性融資の推進等に関する法律」の概要
     (1) 検討の経緯（日本における融資の課題・事業性融資の重要性等）
     (2) 法律の全体像
2. 「企業価値担保権」の具体的な内容
     (1) 担保権の内容
     (2) 担保権の実行手続等
3. 企業価値担保権の活用と想定される論点―知的財産管理技能士の皆様の視点から